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フリーランスの労災保険特例、拡大を検討 「ギグワーカー」にも朗報となるのか?
政府は6月25日、「全世代型社会保障検討会議」を開き第2次中間報告をまとめた。フリーランスとして働く人に関し、国の労働災害保険の「特別加入制度」対象拡大を検討すると明記した。
労災保険は、労働者として事業主に雇用されている人が対象となっており、自営業など労働者以外の人は対象になっていない。ただ、特別加入は労働者でなくても、業務の実態などから、労働者に準じて保護するにふさわしい場合に認められてきた。
具体的に特別加入が認められるのは、(1)中小事業主等、(2)一人親方等、(3)特定作業従事者、(4)海外派遣者の4種だ。
インターネットを通じて仕事を請け負い働く「ギグワーカー」にとっても、朗報となるのだろうか。
労働問題にくわしい菅俊治弁護士は「フリーランスの社会保障の制度は十分整っていなかった。加入要件の拡大は歓迎するが、それとは別に、労働者かどうかという点は引き続き問題となってくる」と指摘する。
突然現れた「困った叔父」の介護、姪に義務はあるのか 「数回しか会ったことがないのに…」問題は山積
親族の介護は経済的にも精神的にも大きな負担になるため、トラブルが発生しがちです。弁護士ドットコムに相談を寄せた人の場合、ほとんど接点のなかった病気の叔父の介護に悩んでいるといいます。
相談者の叔父はある日突然、離婚と退職をして数十年ぶりに地元に帰って来ました。不審な言動が多いため病院に連れて行くと、若年性の認知症だと判明。興奮状態になると失踪したり暴力を振るったりすることもあり、幾度となく警察沙汰になったそうです。
相談者は「生まれて数回しか会ったことがない叔父の介護をしなくてはいけないのでしょうか」と質問を寄せました。
相談者の祖母(叔父の母親)は高齢で介護は難しく、相談者の母(叔父のきょうだい)や兄(叔父の甥)も介護はしたくないと考えています。
叔父に妻子がいない場合、扶養、介護の義務は誰にあるのでしょうか? 母が亡くなった場合には、姪の相談者が主な責任者となるのでしょうか。平野由梨弁護士に聞きました。
「ひざに座って」「胸大きいね」数々のセクハラでクビになった男性 それでも裁判所が「解雇無効」と判断したワケ
日々問題なく働いている人でも、いつ労働トラブルに巻き込まれるかわかりません。パワハラ、労災、長時間労働などのトラブルは今もなくなっていないのが現状です。
トラブル発生に備え、過去の裁判例を通じて、実際に発生した労働トラブルとその結末を知っていれば、いざという時の助けになるかもしれません。
今回紹介するケースは、社員旅行の宴会で、「私のひざに座って」「胸が大きいね、何カップかな」「私も現役だ」と発言するなど、複数の女性にセクハラをした男性支店長が会社から受けた解雇処分は無効だとして提訴したという事例です。林孝匡弁護士の解説をお届けします。
【東京学芸大でアカハラ】学生の就職を妨害しようとした教授の法的責任は問える?
東京学芸大は9月12日、教員が学生と研究室卒業生に対してアカデミックハラスメントを行っていたため、懲戒処分として諭旨解雇したと発表した。東京学芸大や報道によると、教員は教育学部の50代男性教授で、2014年3月から10月にかけて、指導していた研究室に所属する学生の就職内々定を取り消そうと、内々定先の企業に連絡を取ろうとしたという。
他にも、学生が登録するメーリングリストで「留年してください」と送ったこともあり、東京学芸大は「複数の学生がこれらの一連の行為を起因とする精神疾患を発症し、卒業後の就労にも多大な支障が生じた」としている。
教授はすでに辞職しているというが、今回のアカハラが「尊厳や人格権を侵害」したと東京学芸大では判断している。このような悪質なアカハラについて、刑事責任、民事責任は問えるのだろうか。神尾尊礼弁護士に聞いた。
別居妻の住所を出会い系掲示板に「わいせつ行為できる」と投稿した夫が逮捕 名誉毀損で逮捕されたのはなぜ?
別居中の妻の住所などの情報をインターネット掲示板に投稿したとして、福岡県警が11月10日、会社員である夫を名誉毀損容疑で逮捕したことが報じられました。
朝日新聞(11月10日)などの報道によると、夫は、7月に出会い系サイトの掲示板に、女性が住むアパート名や部屋番号などを書き込んだ疑いが持たれています。夫の投稿には、深夜にインターホンを鳴らして合言葉を言えば、わいせつ行為ができることを示唆するような内容も含まれていたそうです。
この投稿を見たと思われる男性が、8月に妻のアパートに侵入し、住居侵入と不同意性交未遂の疑いで逮捕されました(住居侵入罪と暴行罪で起訴)。男性は「性交できると思った」という趣旨の供述をしているとのことです。
夫婦は離婚をみすえ別居中で、夫は「妻への仕返しのつもりだった」と供述しているそうです。ネット上では、「妻が性被害にあいそうな事態を引き起こしたのに、なぜ容疑は名誉毀損だけなのか」といった声も見られました。なぜ名誉毀損の容疑で逮捕されたのでしょうか。
「接客態度が悪い」クレームをつけた客が「店員の顔」を3分撮影ーー許されるのか?
接客業の仕事をしている人の中には、「クレーマー客」の理不尽な要求におびえている人もいるかもしれない。あるカラオケ店でアルバイトをする女性は、接客態度が悪いと文句をつけられ、「お前の顔を写真で撮って本社に送ってやる」と、3分近く携帯のカメラで撮影され続けたという。
その女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談を寄せた。問題の客は、70代とおぼしき8人のグループ客。携帯で撮影するだけでなく、「辞めさせてやる」と怒鳴り散らしたり、紙製のアンケート回収箱を投げつけてきたそうだ。幸い、女性に怪我はなかったという。
だが、相談者の女性は「物を投げつけられて怖い思いをし、恐怖心と戦いながら出勤しているし、無断で撮られた写真が、どんな使われ方をするのか、不安でたまりません。慰謝料を請求したいんですが、貯金がほとんどないので、弁護士さんにお支払いができるか心配です」と悩みを打ち明けている。
このようなクレーマー客にからまれた場合、店の従業員は、慰謝料を請求できるのだろうか。大久保誠弁護士に話を聞いた。
「仮想通貨そのものを返せ」コインチェック集団訴訟、第1次提訴…弁護団「戦後最大規模の消費者事件」
仮想通貨取引所コインチェックで約580億円分の仮想通貨「NEM」が不正流出した問題を受け、コインチェック利用者の被害相談に応じる「コインチェック被害対策弁護団」は2月15日、第1次訴訟を東京地裁に提起した。コインチェックを相手取り、口座に預けていたNEMを含む13種類の仮想通貨そのもの(2月14日終値ベースで、日本円にして約1953万円相当)を、指定する口座に送信することなどを請求する。
「体調不良の申告見落とした」ツアーで12人新型コロナ感染 主催社の法的責任は?
読売旅行は10月22日、10月中旬に実施した3泊4日の北海道ツアーにおいて、参加者・乗務員計41人のうち12人について、新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。いずれも軽症・無症状だという。
同社は新型コロナ対策として、体温などを確認する「健康チェックシート」を参加者から提出してもらっているが、参加者のうち1人が、「咳、のどの痛み、息苦しさ、胸の痛み等の呼吸器症状や味覚障害はございますか?」という項目に、「はい」のチェックをつけていたにもかかわらず、これを添乗員が見落としたという。
のちに、この参加者はPCR検査で陽性となった。保健当局から集団感染に当たるかどうかの判断は示されていないが、同社は「ツアーの期間中にまとまった感染があったと考えざるを得ない」としている。
GoToトラベルを使って旅行する人は増えている。今後、このようなツアーに参加して新型コロナに感染した人は、体調に不安があるとの申告を見逃してしまった旅行会社に損害賠償請求ができるのだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。
慰安婦テーマの映画「主戦場」、右派論客に「歴史修正主義者」のレッテルを貼ったのか?
慰安婦問題をテーマとしたドキュメンタリー映画『主戦場』をめぐり、ケント・ギルバートさんら5人の出演者が、監督と配給会社を相手取り、映画の上映差し止めと計1300万円の損害賠償を求めている裁判。その判決が1月27日、東京地裁で言い渡される。公開直後からSNSで話題となった作品はなぜ争われているのだろうか。これまでの経緯を振り返る。(ライター・碓氷連太郎)
飲食店で「コート」が行方不明、店に弁償を求めたら拒否された! どうすれば?
飲食店で「靴を履き間違えられた」「コートがなくなった」…そんな経験をしたことがある人は少なくないだろう。しかし、なくなったことに泣き寝入りするのではなく、客の行動を見ていなかったとして店側に弁償を求める人もいるようだ。
弁護士ドットコムの法律相談にも、飲食店でコートを間違えて持って行かれたという人から、お店側に賠償してもらうことはできるか、という質問が寄せられている。店側に弁償して欲しいと伝えたところ「一人でやっているのでコートまで監視する余裕がない」「セルフ管理でお願いします」と言われたそうだ。
このように、飲食店で自分のコートなど身の回りのものがなくなった場合、客の行動を見ていなかった店側に法的責任はないのか。また「人質」ではないが、かわりに別の人のものを手にしたら問題になるのか。高橋裕樹弁護士に聞いた。