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メールのみで「欠勤報告」する学生アルバイト 「会社ルール」を守らないとクビ?
2013年04月16日 18時12分

新学期とともに、新しくアルバイトを始める学生も多いだろう。そこで知っておきたいことの一つが、遅刻や欠勤に関するルールだ。あるIT企業では、「アルバイトの学生があまりにも安易に休みすぎること」が問題視されているという。

この会社ではもともと、事情があって休むことになった場合は、上司に電話で連絡したうえで、承認を得ることがルール化されている。にもかかわらず実際には、直前に「体調不良で休みます」というメールを一本送っただけで、そのまま欠勤する学生が少なくないというのだ。

はたして、アルバイトが「会社ルール」を無視して、一方的に休むことは法的に問題ないのだろうか。また、このような欠勤を繰り返すことで、バイトを「クビ」になることはあるのだろうか。野澤裕昭弁護士に聞いた。

●アルバイトも「会社ルール」を守る義務を負っているかどうかが問題

野澤弁護士は、まず「アルバイトも会社と労働契約を締結して働く労働者です」と指摘したうえで、次のように説明する。

「労働基準法は、労働契約を締結するに際しては労働条件を明示しなければならず、その方法として労働者に労働条件を記載した文書を交付しなければならないとしています(労基法15条)。これはアルバイトも同じです」

つまり、「自分は学生だから」と思っていても、アルバイトであるからには労働者ということであり、会社と労働契約を結んだ範囲で権利義務関係が生じるということだ。

「今回のケースでは、労働契約によって、アルバイトも『会社ルール』を守る義務を負っているかが、まず問題となります。負っているなら、メールのみの欠勤届けは契約違反となり、法的な問題となります」

●「会社ルール」が内規や労使慣行なら、契約上の義務はない

だが、最初の段階で、そのような細かい会社ルールに関する説明を受けてから、アルバイトが労働契約を結ぶということは、実際にはあまりないのでないか。

「たしかに、一般には労働契約でここまで取り決めているのは、まれでしょう。『会社ルール』なるものは、『内規』か、『労使慣行』で行われているのが、ほとんどではないかと思います。この場合は契約上の義務はないことになります。

とりわけ、労使慣行は、長期雇用関係を前提にして労使間で形成されるものです。アルバイトのような一時的な雇用形態の労働者の場合、必ずしも労使慣行に拘束されるとはかぎらないと考えられます。そのような場合は、会社ルールを守らなかったとしても、法的問題となることはないでしょう」

このように説明したうえで、野澤弁護士は次のようにアルバイト向けのアドバイスをしている。

「とはいえ、仕事以外の原因にもとづくケガや病気の欠勤は、労働者側の理由による『労務の不提供』といえるので、債務不履行と言われても仕方ありません。したがって、欠勤報告がメールか否かを問わず、欠勤を繰り返せば、労働契約の解除事由、やわらかく言えば『クビになる理由』となりますので注意が必要です」

(弁護士ドットコムニュース)

新学期とともに、新しくアルバイトを始める学生も多いだろう。そこで知っておきたいことの一つが、遅刻や欠勤に関するルールだ。あるIT企業では、「アルバイトの学生があまりにも安易に休みすぎること」が問題視されているという。

この会社ではもともと、事情があって休むことになった場合は、上司に電話で連絡したうえで、承認を得ることがルール化されている。にもかかわらず実際には、直前に「体調不良で休みます」というメールを一本送っただけで、そのまま欠勤する学生が少なくないというのだ。

はたして、アルバイトが「会社ルール」を無視して、一方的に休むことは法的に問題ないのだろうか。また、このような欠勤を繰り返すことで、バイトを「クビ」になることはあるのだろうか。野澤裕昭弁護士に聞いた。

●アルバイトも「会社ルール」を守る義務を負っているかどうかが問題

野澤弁護士は、まず「アルバイトも会社と労働契約を締結して働く労働者です」と指摘したうえで、次のように説明する。

「労働基準法は、労働契約を締結するに際しては労働条件を明示しなければならず、その方法として労働者に労働条件を記載した文書を交付しなければならないとしています(労基法15条)。これはアルバイトも同じです」

つまり、「自分は学生だから」と思っていても、アルバイトであるからには労働者ということであり、会社と労働契約を結んだ範囲で権利義務関係が生じるということだ。

「今回のケースでは、労働契約によって、アルバイトも『会社ルール』を守る義務を負っているかが、まず問題となります。負っているなら、メールのみの欠勤届けは契約違反となり、法的な問題となります」

●「会社ルール」が内規や労使慣行なら、契約上の義務はない

だが、最初の段階で、そのような細かい会社ルールに関する説明を受けてから、アルバイトが労働契約を結ぶということは、実際にはあまりないのでないか。

「たしかに、一般には労働契約でここまで取り決めているのは、まれでしょう。『会社ルール』なるものは、『内規』か、『労使慣行』で行われているのが、ほとんどではないかと思います。この場合は契約上の義務はないことになります。

とりわけ、労使慣行は、長期雇用関係を前提にして労使間で形成されるものです。アルバイトのような一時的な雇用形態の労働者の場合、必ずしも労使慣行に拘束されるとはかぎらないと考えられます。そのような場合は、会社ルールを守らなかったとしても、法的問題となることはないでしょう」

このように説明したうえで、野澤弁護士は次のようにアルバイト向けのアドバイスをしている。

「とはいえ、仕事以外の原因にもとづくケガや病気の欠勤は、労働者側の理由による『労務の不提供』といえるので、債務不履行と言われても仕方ありません。したがって、欠勤報告がメールか否かを問わず、欠勤を繰り返せば、労働契約の解除事由、やわらかく言えば『クビになる理由』となりますので注意が必要です」

(弁護士ドットコムニュース)

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