6211.jpg
デリヘル嬢「客との恋愛禁止」ルール違反で「罰金100万円」 払わないとダメ?
2023年09月02日 09時42分

客と恋愛関係になってはいけないーー。その掟を破ってしまったデリヘル嬢が、弁護士ドットコムに相談を寄せている。

相談者は、入店時に客との恋愛や交際を禁止する契約を交わした。ところが、ある客への恋心を抑えきれずに「恋人」として付き合い始め、店にバレてしまった。「罰金」として100万円を支払うように言われているという。

キャバクラや風俗店では、客との交際を禁止するルールがあることも少なくない。違反した場合に罰金を支払う必要はあるのか。若林翔弁護士に聞いた。

客と恋愛関係になってはいけないーー。その掟を破ってしまったデリヘル嬢が、弁護士ドットコムに相談を寄せている。

相談者は、入店時に客との恋愛や交際を禁止する契約を交わした。ところが、ある客への恋心を抑えきれずに「恋人」として付き合い始め、店にバレてしまった。「罰金」として100万円を支払うように言われているという。

キャバクラや風俗店では、客との交際を禁止するルールがあることも少なくない。違反した場合に罰金を支払う必要はあるのか。若林翔弁護士に聞いた。

●ルールの目的のひとつは「裏引き」の防止

ーーキャバクラや風俗店のキャストと客の交際を禁止するルール自体に問題はないのでしょうか。

ただちに違法になるわけではありません。そもそも店が、客との交際を禁止するルールを設ける目的として「裏引き」の防止があります。

「裏引き」とは、キャバ嬢や風俗嬢が店で出会った客に対して、店を通さずに、直接お金をもらってデートや性行為をすることをいいます。

キャバクラや風俗店では、お金をかけて集客などをしています。客を「裏引き」で取られてしまうと、店舗側は利益を得られず、コスト分の損失が出ることになります。また、店の管理が及ばないと、売春がおこなわれるリスクも内在しています。

このような「裏引き」を防止するための規程やルールには合理性があるため、それ自体が違法・無効にはなりません。

一方で「恋愛禁止」とすることについては、人が誰と交際するかは本来自由に決定できるもので、その意思は尊重されるべきという考え方があります。

実際に、キャバ嬢と男性従業員について、真摯な恋愛も含めて広く禁止する契約は無効と判断した裁判例があります。客との恋愛は、従業員とは違って「裏引き」防止の合理性があるなど事情は異なりますが、真摯な恋愛、真剣交際をも禁止するルールの場合、違法・無効と判断される可能性はあります。

●交際禁止ルールが「有効」だと支払義務が生じる可能性も

ーー罰金は支払う必要があるのでしょうか。

店がキャストに対して「罰金を払え」という場合、それは損害賠償や違約金の請求であることが多いです。

損害賠償については、交際禁止ルールの適法性・有効性の問題との兼ね合いで変わります。有効と判断されれば、ルール違反で債務不履行だとして、支払義務が生じる可能性があります。

ただし、労働者に対して損害賠償額を事前に違約金として定めることについては、労働基準法違反で無効になります。そのため、キャバ嬢や風俗嬢が労働者といえるのか、それとも業務委託を受けている個人事業主なのかという点も問題になってきます。

実際の働き方からみて労働者と判断される場合には、違約金である「罰金」を定めた規定は無効となり、罰金の支払義務はないことになるでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る