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「10年で雇い止めは違法」理研の研究者が提訴 「職業として成り立たなくなる」と訴え
2022年07月28日 17時07分

国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)の男性研究者(60代)が、無期雇用に変更申請が可能になる直前に不当に雇い止めされたとして、理研に対し、労働契約の地位確認などを求める訴えをさいたま地裁に起こした。提訴は7月27日付。

理研労働組合によると、2023年3月末で勤続10年を超える研究職は約300人にのぼり、「無期転換逃れ」による大量雇い止めが危惧されている。

原告の男性は7月28日、会見を開き「今回の雇い止めは、法律に照らして違法である。素人である私ですら労働契約法を読めばわかる話で、理研の経営陣や理事会も認識しているはず。公の場で雇い止めの違法性を明らかにして、研究者の大量雇い止めを阻止したい」と訴えた。

国立研究開発法人「理化学研究所」(理研)の男性研究者(60代)が、無期雇用に変更申請が可能になる直前に不当に雇い止めされたとして、理研に対し、労働契約の地位確認などを求める訴えをさいたま地裁に起こした。提訴は7月27日付。

理研労働組合によると、2023年3月末で勤続10年を超える研究職は約300人にのぼり、「無期転換逃れ」による大量雇い止めが危惧されている。

原告の男性は7月28日、会見を開き「今回の雇い止めは、法律に照らして違法である。素人である私ですら労働契約法を読めばわかる話で、理研の経営陣や理事会も認識しているはず。公の場で雇い止めの違法性を明らかにして、研究者の大量雇い止めを阻止したい」と訴えた。

●約300人の研究者が雇い止めの対象に

訴状などによると、原告の男性は2011年4月、任期制職員として採用され、1年間の有期雇用契約の更新を繰り返していた。

2013年施行の改正労働契約法により、有期雇用の労働者でも同じ職場で5年を超えて働くと無期雇用に転換できる権利を得られるようになった。研究者らは長期のプロジェクトもあることから、この「5年ルール」の例外とされ「10年ルール」が採用されている。

理研は2016年4月、就業規則を改訂。任期制職員の通算契約期間を上限10年とし、その起算点を2013年4月1日とした。そのため、改正労働契約法施行からちょうど10年となる2023年3月末、約300人の研究者が雇い止めの対象となる見込みだ。

男性は2022年4月8日、雇用条件通知書で2023年4月以降の雇用契約は締結しない旨を通知された。

原告側は、就業規則の改訂は不利益変更であり、契約期間のカウントを2013年に遡及適用し一律に10年で雇い止めをするのは、客観的にも合理性がなく社会通念上も相当でなく違法であると主張している。

●男性「研究職は職業として成り立たなくなる」

男性は今回の大量雇い止めについて、「こんな乱暴なことをするのか、理解できない。コスト面を考えてもかなりのマイナス」と疑問視。さらに「労働問題のみならず国家的な問題」とも指摘する。

「評価や成果、継続性を考えないで機械的に10年で雇用を切っていく制度が確立すると、研究職は職業として成り立たなくなると思う。短期的には学術論文が減る。長期的には研究者の層が薄くなり、研究力や科学技術力、国力の低下につながる」

●理化学研究所「コメント差し控える」

理化学研究所は取材に「訴状が届いていないため、コメントは差し控えさせていただきます。訴状の内容を拝見し次第、誠実に対応して参ります」とコメントした。

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