この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
父はずっと一人暮らしで,近くに住む兄弟の一人が父の世話をしていた。父が亡くなった後,父の預金が少なかったため取引履歴を確認したところ多額の預金が引き出されていた。遺産分割の際,引き出された分についても考慮してもらうことはできないのか。
解決への流れ
通帳の取引履歴をもとに,使途の説明を求めました。使途のうち数百万円については領収書などで説明を受けることができましたが,それでも数百万円については覚えていないといった回答や,納得できない説明も多かったため,裁判をすることも検討いたしました。もっとも,話し合いを続けることで,相応の金額を遺産に持ち戻す(組み入れる)ことで解決しました。
亡くなられた方の預金口座から現金が引き出されていた場合,まず誰が引き出したかが問題になります。寝たきり状態で通帳を管理し病院の支払いなども特定の人物が行っていたという事例であればこの点の問題はさほど大きくはありません。そして,次に問題となるのが,引き出されたお金が何に使われていたかという点です。病院の領収書などである程度の使途は判明することが多いですが,全ての領収書が見つかるということは稀です。手術を行った先生や法要を営んだ住職への心付など領収書が無いものもございます。また,看病の傍ら領収書の保管まで手が回らないことも多く,病院に見舞いにも来なかったのになどといったトラブルになることも多いです。とはいえ,お金を管理する以上は使途についてはきちんと把握しておく必要がありますので,使途不明金全額を遺産に持ち戻すということは少ないですが,ある程度の額については持ち戻し(遺産に組み入れる)が必要になることが多いです。