この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
依頼者は被相続人の妹2人で、被相続人の生前、東京都内の持ち家で一人暮らしをしていた被相続人の生活支援や介護を精力的に行いました。被相続人が死亡して相続手続きのために相続人を調べたところ、依頼者2名以外に、被相続人とは疎遠になっていた甥姪達15人の相続人がいることが判明し、相続手続きに困って依頼がありました。また、依頼者は、被相続人と疎遠にしていた相続人より被相続人のそばに寄り添って生活支援等の貢献をしたことを評価してもらいたい気持ちを持っていました。
解決への流れ
遺産分割は、持ち家を売却して代金を分配する方法が最適でしたが、相続人が多数で一同に協議できないため、家庭裁判所に遺産分割と寄与分の調停を申立てました。多数者で協議し、かつ他の相続人に依頼者達の寄与分を納得してもらうことは困難を伴いましたが、1年程度で依頼者らの寄与分を反映した遺産分割調停が成立し、更に、当事務所が主導して不動産を売却し、代金を相続人に分配して終了しました。
まず、本件の依頼者は比較的高齢の方で同年代の私には話がしやすかったようでした。子供がいない高齢者の方に相続が発生すると、兄弟や甥姪が相続人となり、疎遠で、しかも多数の相続人と遺産分割協議をしなければならない事態がよく起きます。このような事態は遺言書を作成することによって予防できます。本件でも、被相続人は世話を受けた人に遺産を渡したかったように思われ、それならば生前に遺言書を作成しておけばよかったのにと感じる事案でした。