この事例の依頼主
30代 女性
正面衝突事故に遭って治療中で,保険会社から治療の打切りを打診された段階で相談に来られ,ご依頼を受けました。
受任後,保険会社と交渉し,治療の打切りを2カ月先延ばししてもらいました。その上で主治医への後遺障害診断書作成依頼の書面を作成し,適正な後遺障害診断書が作成されるようサポートしました。同時に,取り寄せた画像を放射線専門医に読影してもらい,読影レポートを作成してもらいました。圧迫骨折については,圧迫骨折が新鮮なものか(つまり事故によって生じたものか),陳旧性のものかが問題となります。新鮮か陳旧性かは,MRIにおいてT2強調画像で高信号を示しているかどうかで判断されることが多いのですが,本件ではMRIが撮影されていませんでした。ただ事故直後,事故から数カ月経過した時点のCT画像があり,事故直後には骨折線が明確に確認できるものの,事故から数カ月経過した時点では,骨折線が仮骨化により癒合していることが確認できました。実況見分調書を取り寄せ,事故による衝撃が大きいことの客観的資料も得られましたので,これらを合わせて自賠責へ被害者請求を行ない,圧迫骨折については11級,PTSDについては12級が認定され,併合して10級が認定されました。被害者は事故前の収入は月10万円弱でしたが,内縁関係にありましたので,内縁の妻として賃金センサスを用いて基礎収入を算定することにしました(賃金センサスを用いると基礎収入は年370万円程度になります。)。しかしながら,内縁の夫は住民票を移しておらず,内縁の証明には一定の工夫が必要でした。過去の郵便物を探してもらったところ,内縁の夫が被害者宅を住所として,クレジットカードを利用していることが分かる明細がありましたので,この明細及び,親族の上申書を提出することによって,内縁の妻であると認めてもらうことができました。結果,自賠責保険金を合わせて,約1600万円の賠償を得ることができました。
本件についてはPTSDということもあり,訴訟になれば労働能力喪失率,労働能力喪失期間,素因減額等様々な争点が発生する可能性がある事案でした。また,内縁であることについても争われる可能性がありました。そのような状況で,かなりの好条件で示談を成立させることができたものと思います。