この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
依頼者様(長男)は、長年、お父様と同居し、自らお父様の介護をされており、お父様も、常日頃から依頼者様に感謝していたので、他の兄弟には一定額の預金を相続させ、依頼者様には不動産を含む遺産の大部分を相続させるとの公正証書遺言を作成されました。その後、お父様は、認知症になりましたが、依頼者様の不在の時に、他の兄弟たちがお父様を連れ出し、先の遺言とは異なる公正証書遺言が作られてしまいました。法律的には後に作られた遺言が優先しますが、依頼者様は納得できないとのことで、依頼をされました。
解決への流れ
後から作られた公正証書遺言が無効であることの確認を求める訴訟を提起しました。当事者や証人の尋問まで行われた結果、裁判所は、後から作られた遺言は無効であるとの心証を抱き、先に作られた遺言が有効であることを前提とした和解案を当事者双方に勧め、依頼者様は他の兄弟に対して遺留分に相当する金銭のみを支払って、実質勝訴に近い形で和解が成立しました。
公正証書遺言は、公証人が作成していますので、信用性が高く、これを無効とするのは簡単ではありませんでした。当時の主治医に事情を聞きに行ったり、カルテ等、集められる限りの資料を証拠として提出するなどして、後の遺言の作成時にはお父様には遺言を作成する能力が無かったことの立証に努め、結果的に勝訴に近い結果を得ることができました。