犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求) . #遺産分割 . #遺言

相続人の一人に全ての遺産を相続させる遺言がある場合において,遺留分減殺請求権を行使することにより,取得額0の状態から2000万円の金員の支払を受けることができた事案

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我妻 耕平 弁護士が解決
所属事務所虎ノ門法律経済事務所川崎支店
所在地神奈川県 川崎市幸区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

(相談内容)親が無くなったが,亡くなる直前になって急に面倒を見始めた兄弟に全ての財産を譲るとの遺言が残っていた。親は軽度の認知症を理由に要介護認定1を受けている。相談内容は,①遺言の無効を主張して,相続分通りに分けることができないか。②遺言が無効にならないとしても,自分は相続財産から何らの支払いも受けることはできないのか。である。

解決への流れ

①遺言の無効主張について遺言作成時に有効な判断能力(遺言能力)を被相続人が有していたのかを確認するため,要介護認定のための認定調査票及び医師の診断書等の資料をまず役所から取り寄せ,かかりつけの病院のカルテ等の開示請求も併せて行った。その結果,過去の裁判実務に照らして,単純な遺言作成ができない程の判断能力の低下は認められないことが判明したため,相談者と相談して遺言の無効主張を断念。②遺留分について遺留分減殺請求権の行使期間は,「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間(民法1042条)」であるため,受任後早急に相手方相続人に対して受任通知と共に遺留分減殺請求の通知を行う。①と平行して遺産を構成する不動産について適正価格の調査を行い,また預金については過去5年分の取引履歴を取得するなど,まず被相続人の財産と生前贈与の存在,金額の把握に努めた。その結果,兄弟が母親が無くなる直前にも同人多額の贈与を受けていたことが判明し,この分も併せて遺留分を計算。その後,遺留分の調停を申し立てて主張と資料を提出。裁判所からも相手方を説得していただき,最終的に2000万円の支払いを相手方に認めてもらうことができた。

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我妻 耕平 弁護士からのコメント

他の相続人に全ての財産を相続させる旨の遺言がある場合に,その遺言の有効性をまず検討し,併せて予備的に遺留分減殺請求権を行使して最終的に2000万円の支払いを受けることができた事案です。遺留分減殺請求権の行使期間は遺留分侵害の事実と減殺対象の贈与等を知ってから1年間とかなり短いので,遺言の有効性検討と併せて先に減殺通知を送付して請求権を保全することに努めました。病院,役所等から収集した資料を良く検討した結果,遺言能力については問題ないと思料されたため,最終的に遺留分のみを主張して2000万円を回収する結果となりましたが,被相続人の資産調査や生前贈与の調査により想定よりも多くの金額の支払を受けられたため,依頼者の方にも喜んでいただける結果となりました。