犯罪・刑事事件の解決事例
#慰謝料・損害賠償 . #人身事故

【0円から300万円を獲得】確定申告をしていなかった個人事業主について休業損害と後遺障害逸失利益が支払われた事例

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窪川 亮輔 弁護士が解決
所属事務所桜風法律事務所
所在地兵庫県 西宮市

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

【休業損害金の支払い拒絶】相談者は事故当時個人事業主としてトラック運転者をされており、年間所得としておよそ600万円の所得がありました。交通事故によりむち打ち症を罹患し、およそ1年間通院し、そのうち半年間は休業を余儀なくされました。相談者は休業期間中知人に対して約30万円の月給を支払って運転代行を依頼し、事故以前と同様の売上は得ていました。もっとも、知人に対して支払った月給分は余計な出費です。よって、相談者は、相手方に対して、休業期間中に知人に支払った月給分の支払いを求めました。しかしながら、相手方は、相談者が本件事故以前に確定申告をしていなかったこと、相談者が知人に対して給与を支払う際に源泉徴収をしなかったこと、を理由にして一切の休業損害金の支払いを拒絶しました。【後遺障害逸失利益の支払い拒絶】相談者は、頚椎に残存した神経症状について自賠責保険から14級9号の認定を受けました。よって、相手方に対して後遺障害逸失利益の支払いを求めたところ、相手方は、相談者が確定申告をしていないことを理由にして、一切の後遺障害逸失利益の支払いを拒絶しました。【当職への受任】そこで、当職は、休業損害金及び後遺障害逸失利益にかかる賠償金を獲得するべく委任を受けました。

解決への流れ

【示談交渉段階で行ったこと】当職は、依頼者と協議して、確定申告書、源泉徴収書に代わる資料の収集に努めました。例えば、本件事故以前に作成された注文者への請求書、請負代金の振込先銀行口座通帳の写し、本件事故後に作成された給与明細書などです。依頼者の本件事故当時の収入額及び知人への給与支払額を証明するためのできる限りの資料を収集し、相手方に提出しましたが、相手方は、当方が提出した各資料について信用性が乏しいと主張して、休業損害金や後遺障害逸失利益の支払いを拒絶しました。【示談が決裂し、訴訟提起へ】そのため、休業損害金や後遺障害逸失利益の支払いを求めて、訴訟を提起しました。裁判所に対して、示談交渉段階で収集した証明資料を提出し、併せて提出した資料を作成した経緯も説明しました。また、確定申告書や源泉徴収票だけが所得の存在を裏付ける資料ではないことを丁寧に主張しました。これに対して、相手方は、確定申告書や源泉徴収票がない状況においては、依頼者の収入状況を明らかにすることはできない、立証責任の観点からすれば、依頼者の休業損害金や後遺障害逸失利益は否定されるべき旨強硬に主張しました。【裁判所の結論】依頼者側、相手方側双方の主張及び当事者尋問を除く立証を尽くした段階で、裁判所から当方の休業損害金及び後遺障害逸失利益のほぼ満額を認める内容の和解案が提示されました。この和解案について、依頼者側、相手方側の双方が了解し、本件を解決することができました。

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窪川 亮輔 弁護士からのコメント

個人事業者が休業損害金や後遺障害逸失利益の賠償を求めるためには、基本的に確定申告書の写しや所得証明書の提出が必要です。また、給与所得者が休業損害金の賠償を求めるためには、基本的に源泉徴収票や所得証明書の提出が必要です。保険会社は、確定申告書、所得証明書、源泉徴収票を提出できない場合、ほとんどの事例において休業損害金や後遺障害逸失利益の支払いを一部ないし全部拒絶するのが現状です。しかし、保険会社から休業損害金や後遺障害逸失利益の賠償を拒絶された場合でも、必ずしも諦める必要はありません。確定申告書などの公的な資料でなくとも、事故以前の所得を根拠づける資料、事故後の減収を根拠づける資料があれば、裁判所が休業損害金や後遺障害逸失利益にかかる賠償請求を認容するケースは珍しくはありません。本件も、事故前の所得金額や事故後の減収にかかる資料を提出し、丁寧に減収額を主張(説明)することによって、休業損害金や後遺障害逸失利益の賠償が認容されたケースにあたります。