この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
依頼者は、被相続人の生前に被相続人の介護や生活全般の世話をしており、生前贈与として1億円以上の財産を受領していた。ところが、被相続人の死後に、被相続人の生前に全く親交のなかった他の相続人らから、依頼者がもらった財産は生前贈与ではなく、認知症の被相続人に無断で預金を下ろしたものだとして、1億円以上の返還を求める不当利得返還請求訴訟を提起された。
解決への流れ
地方裁判所において、被相続人の生前の意思能力の有無についての鑑定を行うなど、2年以上に渡る長期間の裁判を経て、結局、生前の預金の引き下ろしは不当利得ではなく、生前贈与であることが認定された。もっとも、死後に引き下ろした預金については、不当利得と認定されたため、最終的に、死後の引き下ろし額に対する相続人らの相続分相当額を支払うことで和解が成立した。その後、被相続人の遺産につき、遺産分割調停を経て、最終的に和解で終了した。
被相続人の死後に、生前の預金の引き下ろしが、生前贈与なのか不当利得なのかについては、本件に限らず、よく争いになります。このような争いに巻き込まれた際には、一度、弁護士に相談してみてください。調停、裁判などに長期間を要する場合もありますが、最終的には、納得のいく解決が得られることが多いと思います。