この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
【保険会社からの当初提案額】休業損害71万円,傷害慰謝料105万円,後遺障害逸失利益及び慰謝料224万円。その他も含めた損害額合計は471万。被害者の過失割合10%と既払金を差し引いた最終受取額は365万円という内容でした。
解決への流れ
【注力したポイント】依頼者は77歳と高齢の男性であるものの,シルバー人材の清掃員として働きつつ,障害を持つ妻と次男と同居の上,家事の一部や介護まで行っておりました。このような特殊な状況を保険会社に理解してもらうため,妻と次男の日常生活における様子や依頼者の行っている家事・介護の内容を書面にまとめ,シルバー人材の勤務先からは事故前の被害者の働きぶりを聞き取って書面にまとめる等し,保険会社に提出して粘り強く交渉を行いました。【交渉の結果】交渉の結果,休業損害71万円→180万円,傷害慰謝料105万円→215万円,後遺障害逸失利益及び慰謝料合計224万円→477万円,過失割合10%→5%,最終受取額365万円→821万円となりました。
保険会社から提案された段階で依頼者が示談をしていなくて本当に良かったと思う事案でした。一般に,交通事故事案では,弁護士が交渉を行うことで損害賠償額を増額させることが可能です。本件では,これまで仕事,家事,介護と獅子奮迅の働きをされていた依頼者が,事故によって足が不自由となり,これらを満足に行うことができず,その結果,これまではうまく回っていた家庭のサイクルが崩れてしまった事案でした。交通事故に遭ってしまった場合,時計を巻き戻して事故前に戻ることができれば一番良いのですが,それは叶いません。そうであればせめて,適正な賠償を受けて,損害を回復することが重要になります。少し特殊な状況のある事案でしたが,保険会社にその点を理解していただき,弁護士としてほっと胸をなでおろした事案でした。