この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は、職場を退職された後、前職が長時間労働であったため残業代請求ができないかということでご相談に来られました。しかし、残業を証明する証拠が全くありませんでした。会社には、労働時間を証明できる日報があるとのことでしたが、会社に日報等の開示を求めると会社が日報を破棄することが考えられました。
解決への流れ
当職は、まず、労働時間を立証する日報等を獲得するため、裁判所に対し、「証拠保全」という手続きを申立てました。これは、ある日突然、裁判官と一緒に、会社を訪ね、日報等の証拠資料を確認するという手続きです。この手続きにより証拠が破棄されることを防ぎます。証拠保全の申立てが認められたことから、無事、会社において日報等の証拠を獲得することができました。獲得した証拠によって毎日4時間程度の残業をしていることが十分立証できる状態になりました。この証拠を獲得できたことから、会社としても残業がなかったと争うのは難しいと考えたようで、裁判をすることなく、こちらが請求した金額とそれほど変わりない金額を請求してから1ヶ月以内に支払ってもらうことができました。
手もとに証拠がない場合でも会社に証拠があれば「証拠保全」を経ることで残業代が請求できる場合があります。「証拠保全」は大変な手続きですので、これをしたがらない弁護士も少なくないかもしれませんが、私は、積極的にやるようにしています。証拠保全で証拠を獲得できれば、会社が支払いを拒絶するのは難しくなりますから、早期解決も見えてきます。証拠保全をしたことが早期解決につながった事案だと思います。